「ボストン美術館の至宝展」レビューと作品(画像付きで)紹介

印象派からウォーホール、仏涅槃図まで展示の「ボストン美術館の至宝展」代表作品を画像付きで紹介。

最終更新日:2017年8月18日

東京は上野の東京都美術館で開催中の「ボストン美術館の至宝 東西の名品、珠玉のコレクション展」に行ってきました。
2017年10月9日(月)まで開催中です。
展示替えはないので、いつ行ってもOK。

平日の朝一(9時30分オープン)で行きましたが、比較的空いていましたね。
夏休みのためか普段より若い方が多かった印象。

ボストン美術館の至宝展のレビューと展示作品をご紹介します。
著作権上問題ないものは作品画像も掲載。

公式サイト:http://boston2017-18.jp/
チラシPDF:http://boston2017-18.jp/images/boston_chirashi.pdf

感想をひとことで言うと、中規模な美術館の常設展を観てきた感じ
「○○美術館展」って名前の展覧会は大体そうですが、目玉の作品があったり、特定の作家にスポットを当てているわけではありません。
なので、広く浅くといった展示内容になります。
深く彫り込む展示じゃないので、疲れずさーっと観ることができます。
逆に言うと、「あの作品を観た!」という印象は薄いですし、記憶に残りにくいかもしれません。
所要時間は、1時間から1時間30分くらい。

ボストン美術館の至宝展 概要

東京展(上野:東京都美術館):2017年7月20日〜10月9日
神戸展(神戸市立博物館):2017年10月28日〜2018年2月4日
名古屋展(名古屋ボストン美術館):2018年2月18日〜7月1日

ほぼ1年かけて東京・神戸・名古屋で開催される巡回展でもあります。

ボストン美術館は、アメリカのマサチューセッツ州(アメリカの右上のほう)のボストンにある私立美術館で、1870年の設立。
岡倉天心が在籍していた美術館でもあって、日本美術も多数所蔵しています。
大富豪や王族が開設した美術館ではなくて、多くのコレクターが寄贈した作品群で構成されているのが特徴。
公式サイトでは所蔵作品の多くをみることができます。

ボストン美術館公式サイトhttp://www.mfa.org/

ボストン美術館の至宝展 展示内容と作品紹介

「ボストン美術館の至宝展」の展示は、大きく7つのエリアに分けたうえで、各コレクターが寄贈した作品をまとめて展示してあります。

1.古代エジプト美術
2.中国美術
3.日本美術
4.フランス絵画
5.アメリカ絵画
6.版画・写真
7.現代美術

の7エリア。
全部で80点の展示ですから、1エリア10作品ちょい。
浅く広くです。

古代エジプト美術のエリアは、石像や彫刻品などを展示。
精巧に彫られた石像頭部を間近で観ることができますが、今から4500年位前の作品です。すごい。
日本の彫刻の古いのは白鳳期(8世紀)のものが多いですが、白鳳期の仏像とは比べることも出来ない技術で彫られています。
日本の彫像技術がこの技術に追いつくのは、平安後期から鎌倉期になってくらいかな。
彫像写真には著作権があるのでここには掲載出来ません。

中国美術エリアの目玉は「九龍図
陳容「九龍図巻 部分」1244年

ボストン美術館の至宝展 日本美術

日本美術エリアは、日本美術の定番、野々村仁清や尾形乾山の陶器がお出迎え。
目玉作品は英一蝶(はなぶさいっちょう)の「涅槃図」です。
英一蝶『涅槃図』1713年
涅槃図は、釈尊が涅槃に入る入滅(釈迦が死んだとき)の様子を描いた定番の仏画。
元ネタは『涅槃経』という釈迦の遺言集、いわゆるお経ですが、そのお経を元にした「涅槃図」は数多く描かれています。
この涅槃図もセオリー通りの内容で、釈尊の死を嘆き悲しむ諸菩薩や弟子、動物たちが描かれ、右上には釈尊の母である摩耶夫人が迎えに来ています。
上部中央の大きな満月は、釈尊入滅日である2月15日の夜をあらわしています。
横たわる釈尊は頭を北に、顔を西に向け、最後の説法をおこなっています。
「北枕」の由来です。
まわりの樹は「沙羅双樹」。
左側の4本は白く描かれていて、右側の4本は緑色。
これは、釈尊入滅の悲しみで枯れていく沙羅双樹の時の経過をあらわしています。
右側で山盛りのご飯を持っている白髪スネ夫ヘアーの人物が純蛇(チュンダ)。
釈迦に最後の供養をした人で、この食事の食中毒により釈迦は80歳で亡くなることとなりました。

※「釈迦」の呼び名はいろいろあります。
 「ブッダ」「仏陀」「シャカ」「釈迦」「釈尊」「釈迦牟尼佛」「ゴータマ・シッダッタ」など。

表具も合わせれば5メートル弱の大作。
痛みが激しかったため、25年前に一度公開されただけの「幻の巨大涅槃図」と呼ばれていた作品です。
2016年8月から2017年5月まで修復作業がおこなわれ、復活した姿で奇跡の里帰り展示となりました。

この涅槃図は他の涅槃図よりも、動物の感情表現が秀逸であるように思います。

曾我蕭白『風仙図屏風 』1764年頃
言わずと知れた江戸時代の鬼才・曾我蕭白の作品です。

岸駆、呉春、東東洋『梅に鹿鶴図屏風』
松村景文、岡本豊彦、東東洋『松に鹿蝙蝠図屏風』

右:司馬江漢『秋景芦雁図』
展示作品は右側のみです。
左は司馬江漢の『冬景芦雁図』。
双幅の作品なので並べてみました。
1747年〜1818年に描かれた作品ですが、すでに西洋の技法が入っていたのがわかります(明治維新は1868年)。
日本画を見慣れていると、ちょっと良い違和感があります。
日本画なんだけどただの日本画じゃない。
これが江戸時代の作品であることに驚き。
落款にはオランダ語サインがあります。
この作品を観られただけでも、ボストン美術館展に来て良かった。

ボストン美術館の至宝展 フランス絵画

日本人が大好きな「印象派」の作品群です。
さすがわかっていらっしゃる。
超有名な画家の作品ばかり。

まずは「落ち穂拾い」で有名なミレーのいかにもミレーらしい作品2点とミレーらしくない作品1点。

ジャン=フランソワ・ミレー『編み物の稽古』1854年頃

ジャン=フランソワ・ミレー『ブドウ畑にて』1852-1875年

ジャン=フランソワ・ミレー『洋梨』1862-1866年頃
ミレーって静物画描いていたんですね。
現存するミレーの静物画は本作を含め3点しかないそうです。

ジャン=バティスト=カミーユ・コロー『ボーヴェ近郊の朝』1855-1865年頃
『真珠の女』で有名なコローの風景画。

ウジェーヌ・ルイ・ブーダン『ヴェネチア、サン・ジョルジュ島から見たサンタ・マリア・デッラ・サルーテ聖堂』1895年
日本ではあまり有名ではないブーダンの作品。
青い空と白い雲を描かせたら右に出る者がいない「空の王者」の異名を持つ画家です。

アルフレッド・シスレー『サン=マメスのラ・クロワ=ブランシュ』1884年
「典型的な印象派の画家」と呼ばれるシスレーの作品。
イギリス人ですがフランス生まれのフランス育ち。
生涯印象派の風景画を作り続けたザ・印象派。
日本にも所蔵作品が多い画家です。

カミーユ・ピサロ『ポントワーズ、道を照らす陽光』1874年
印象派の立役者ピサロの作品。
ピカソはセザンヌを「父」と呼んだが、セザンヌはピサロを「父のような存在」と言ったと言われる。

クロード・モネ『くぼ地のヒナゲシ畑、ジヴェルニー近郊』1885年
私が今回特に気に入った作品のひとつ。
『睡蓮』で有名なモネの初期の作品。

クロード・モネ『ルーアン大聖堂、正面』1894年
モネが30点描いたルーアン大聖堂の連作の1点。

クロード・モネ『睡蓮』1905年
モネは睡蓮を多数描いているが、そのうちの1点で比較的小さい作品。

クロード・モネ『アンティーブ、午後の効果』1888年

エドガー・ドガ『腕を組んだバレエの踊り子』1872年
『踊り子』で有名なドガの作品。
本作は踊り子を描いた未完の作品で、ドガが亡くなった後のアトリエに残されていた。
制作途中で遺されたため、ドガの制作過程を知ることができる貴重な作品でもある。

ギュスターヴ・クールベ『銅製ボウルのタチアオイ』1872年
写実主義の画家クールベの静物画。

ピエール=オーギュスト・ルノワール『陶製ポットに生けられた花』1869年頃
代表作『ムーラン・ド・ラ・ギャレット』『イレーヌ・カーン・ダンヴェール嬢』で超有名な印象派の画家、ルノワールの静物画。
質感や光の表現が素晴らしい。

アンリ・ファンタン=ラトゥール『卓上の花と果物』1865年
花の画家とも呼ばれるラトゥールの静物画。
すごい。
写実的で伝統的な静物画であっても、ここまで凄いのはあまり見ない。
是非実物を見て欲しい。

アルフレッド・シスレー『卓上のブドウとクルミ』1876年
シスレーが描いた9点しかない静物画のひとつ。

ポール・セザンヌ『卓上の果物と水差し』1890-94年頃
「近代絵画の父」セザンヌの代名詞のような静物画のひとつ。
「果物は、自らの肖像を描いてもらうのがすきなのだ。」

フィンセント・ファン・ゴッホ『郵便配達人 ジョゼフ・ルーラン』1888年

フィンセント・ファン・ゴッホ『子守唄、ゆりかごを揺らすオーギュスティーヌ・ルーラン夫人』1889年
言わずと知れたゴッホの作品。
ボストン美術館の至宝展」の目玉作品2点。
ゴッホはこの夫婦の肖像画を20点以上描いている。
夫「郵便配達人」の肖像画は本作のみほぼ全身が描かれている。
他の作品はバストアップで、よりゴッホらしい作品となっている。
妻の作品はほぼ同じ構図で、一見同じ作品のようにみえる作品を5点描いている。

ボストン美術館の至宝展 アメリカ絵画

アメリカのボストン美術館だけあって、アメリカ絵画の所蔵も豊富。
日本人にとってあまり馴染みがないアメリカ美術。
(ネイティブを除けば)アメリカの歴史の始まりは芸術史でいうと、新古典主義・ロマン主義・写実主義のころ。
近代・現代に入ればポップアートなど芸術の中心地となるアメリカ美術。
その一端を垣間見ることができます。

ワシントン・オールストン『月光』1819年
アメリカの画家が描いたローマの風景。
ドイツロマン派に通ずる精神性が感じられる。
今回私が最も気に入った作品。
本作品にインスピレーションを受けた詩人ヘンリー・ピカリングは3編の詩を書いた。

フィッツ・ヘンリー・レーン『ニューヨーク港』1855年
19世紀半ば、アメリカで最も賑わっていたニューヨークの港を描いた作品。
帆船のむこうには蒸気船があり、時代の移り変わりも描いている。

ウィンスロー・ホーマー『たそがれ時のリーズ村、ニューヨーク州』1876年
アメリカ美術史上最も重要な芸術家のひとりであるホーマーの作品。

トマス・エイキンズ『クイナ猟への出発』1874年

チャイルド・ハッサム『野外プール、アップルドア島』1907年
アメリカで印象派として活動した画家ハッサムの作品。

ジョン・シンガー・サージェント『ロベール・ド・セヴリュー』1879年

ジョン・シンガー・サージェント『フィスク・ウォレン夫人と娘レイチェル』1903年

ほか、ジョージア・オキーフ『赤い木、黄色い空』や、版画・写真、現代美術ではウォーホールをはじめ素晴らしい作品が展示されています。
(著作権があるため掲載していません)

掲載した作品は展示作品の一部です。

※掲載している作品画像は著作権保護期間が満了しており人類共有の財産となっています。

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