「海辺の修道士 ・ 樫の森の中の修道院」解説。特集:カスパー・ダーヴィト・フリードリヒ

ドイツロマン派の画家カスパー・ダーヴィト・フリードリヒの代表作品『海辺の修道士 ・ 樫の森の中の修道院』を関連する作品を交えながら解説。画像有り。

最終更新日:2017年8月16日

海辺の修道士(海辺の僧侶)、樫の森の中の修道院(槲の森の僧院)

この二幅の絵は、対幅として制作された。
1810年10月のベルリン美術アカデミー展に出品され、当時、王太子で15歳であった後のプロイセン国王・フリードリヒ・ヴィルヘルム四世の希望で王室買い上げとなった。これに伴い、カスパーはベルリン・アカデミーの在外会員に選出された。

海辺の修道士

1808〜10年 カンヴァス 油彩 110.4×171cm ベルリン,ナショナルギャラリー
山上の十字架』同様、この絵も、形式面、内容面ともに、伝統から外れていた。
風景の構成要素をギリギリまで切り詰められ、本来あるはずの後景は全て取り去り、わずかな地上世界と、画面の6分の5の広さを占める空。そして、小さな修道士(僧侶)、という構造になっている。
空には果てしない広がり=無限性が表れ、その無限の空間に垂直に交わる一つの存在=僧侶が、キリスト教会のうちに留まる僧侶ではなく、ひとりの個人としての僧侶=信仰を象徴している。
この僧侶は、フリードリヒ自身として解釈されているが、それ以上に、人間一般の孤独の象徴であり、絵を観るものが、この僧侶と同化し、この絵の中に入り込み、孤独の体験を伴う。

樫の森の中の修道院

1808〜10年 カンヴァス 油彩 110×171.5cm ベルリン,ナショナルギャラリー
こちらは廃墟を取り囲む、冬枯れの樫の木と墓場という、同じく荒涼とした風景が描かれている。 廃墟の手前の雪原には真新しい墓穴が掘られ、幾人かの修道士たちが列を成して歩いていく。ねじくれた木は天を目指し、墓場と廃墟、死者というイメージから、あたたかな光を放つ空への道しるべだろうか。

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