「窓辺の婦人」解説。特集:カスパー・ダーヴィト・フリードリヒ

ドイツロマン派の画家カスパー・ダーヴィト・フリードリヒの代表作品『窓辺の婦人』を関連する作品を交えながら解説。画像有り。

最終更新日:2017年8月16日

窓辺の婦人

1822年 カンヴァス 油彩 44×37cm ベルリン,ナショナルギャラリー

カスパーの妻、カロリーネ(愛称:リーネ)が、エルベ河沿いのアトリエの窓から外を眺めている。
1822年のデレスデン・アカデミー展に未完のまま展示された作品。
絵の構成や明暗は『ヨーハン・エマヌエル・ブレーマー追悼画』に似ている。

ヨーハン・エマヌエル・ブレーマー追悼画

閉塞されたこちらから、開放された向こう側を眺める構図は、『墓地の入り口』と同じである。

墓地の入り口

このような設定は、ロマン派や他の画家たちにも見られ、抑圧された時代の、解放された未来への希望が現れているのであろうか。

妻カロリーネは、1793年生まれ。25歳の時に、44歳だったカスパーと結婚した。
この時代のドイツでは、妻たちは家庭内の領域に留められ、自分の生活の限られた範囲内で生きていた。
この絵は、閉塞された室内から、外の世界をただ眺めている・・・そんな女性の状況を表しているともいえる。
また、女性が男性を信仰・神・永遠へと導くとされ、こちら側「此岸」から、女性を通して、向こう側「彼岸」へと我々をいざなっている。

カスパーは、結婚前にはほとんど女性を描いていないが、結婚後は妻のカロリーネが多く描かれている。

帆船の上にて
リューゲン島の白亜岩

また結婚後から、カップルや友人同士などのモチーフがよく描かれるようになったが、これはカスパー自身の個人的付き合いが増えた事にも対応している。

この絵は、全体的に暗いトーンで描かれているが、暗さや閉塞というイメージは無く、とても明るい絵に見える。閲覧者はカロリーネと一体となり、開けた世界-明るい未来や、どこかへと続くエルベ河、天へと伸びるマストを観る、など希望に満ちた感じがある。--今にもリーネの鼻唄が聞こえてきそうだ。

「ベルリンの至宝展」2005年 東京国立博物館


世界遺産・博物館島 ベルリンの至宝展

2005年「ベルリンの至宝展」には、この『窓辺の婦人』と 『朝の田園風景(孤独な木)』 『海辺の月の出』の3点が出展された。

朝の田園風景(孤独な木)
海辺の月の出

他に、カール・フリードリヒ・シンケル『岩場に建つゴシックの大聖堂』やアーノルド・ベックリン『死神のいる自画像』などが出品された。

カール・フリードリヒ・シンケル『岩場に建つゴシックの大聖堂』
アーノルド・ベックリン『死神のいる自画像』

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