「氷の海」解説。特集:カスパー・ダーヴィト・フリードリヒ

ドイツロマン派の画家カスパー・ダーヴィト・フリードリヒの代表作品『氷の海』を関連する作品を交えながら解説。画像有り。

最終更新日:2017年8月16日

氷の海

1823〜24年 カンヴァス 油彩 96.7×126.9cm ハンブルク美術館

氷の海。まちがって<打ち砕かれた希望号><難破した希望号>と混同されているが、これは間違いで、まったく別の作品です。(前作bs295、伝わらず)

凍れる海で難破という題材は、カスパーが好んだものの一つで、カスパーにしてはかなり大型の作品。
厚い氷の層が積み重なり、鋭角に天を目指し、傍らには、難破した船が見える。
題材的には、かなり荒々しく、難破船まで描かれているのに、微妙にやわらかい筆のタッチによる物か、穏やかな印象を受ける。
この時代はウィーン体制真っ只中で、検閲、弾圧、スパイ、取締りが激しい抑圧された時代で、カスパーのような愛国者には住みにくい時代であった。
だがこの作品の氷の層は、天をめざし、やわらかな光に包まれている・・カスパーは希望を失っていなかったに違いない。

氷の海というのは、カスパー最大のトラウマである、弟ヨハンの死を連想させる。
カスパーが13歳の時、氷の中で溺れるカスパーを助け、ヨハンが身代わりに溺死している。
この作品が描かれた頃には、カスパーも自分を許す事が出来たのかもしれない。

フリードリヒ『氷海』―死を通過して、新しい生命へ (作品とコンテクストSeries)

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