「人生の諸段階 連作」解説。特集:カスパー・ダーヴィト・フリードリヒ

ドイツロマン派の画家カスパー・ダーヴィト・フリードリヒの代表作品『人生の諸段階 連作』を関連する作品を交えながら解説。画像有り。

最終更新日:2017年8月16日

人生の諸段階 連作

1826年のドレスデン・アカデミー展に出品されたセピア画の7連作品。
1834年に類似した五部作が新たに描かれ、「秋」から「礼拝する天使」まではその作品に差し替えられたとする説がある。

この連作では、人間の生涯を表し、どの絵でも人間の代表と目される一組のカップルを描く。

1葉目で誕生以前。
2〜5葉で子供、若者、成人、老人。
6葉目ではさらに推し進めて、死者=骸骨。
7葉目では二人の天使を描き、光り輝く神の元へと至る。

春、夏、秋、冬は同時に、朝、昼、午後、夕を表し、前後も併せて、人間の文明も表現している。

人生の諸段階 夜明けの海

1826年 紙 鉛筆・セピア 18.8×26.6cm ハンブルク美術館
空と海に二分割された原初の世界。
水平線の向こうには、登り始めた太陽の光が差し、海には白い波頭が立っている。
ここでは人間も大地も描かれず、人間以前を表す。

 

人生の諸段階 春

1826年 紙 鉛筆・セピア 19.2×27.5cm ハンブルク美術館
春は朝を象徴する。
樹木や草花が芽吹き、小川が流れ鳥が飛ぶ、穏やかな自然のままの平地を描く。二人の幼児は裸のままで、蝶に触れようと無邪気に手を伸ばす。
背景が丘でふさがれているのは、その先を望んだりせず、その時を楽しむ様が表されている。
裸の幼児は、原初の人間を表現する。

人生の諸段階 夏

1826年 紙 鉛筆・セピア 18.9×27cm ハンブルク美術館
夏は昼を象徴する。
舞台は起伏のある丘に変わり、飛んでいた小鳥はつがいの鳩となる。後ろにはなだらかに蛇行する小川が描かれ、貫頭衣を着た二人の若者が、ポプラと白樺の下で手を取り合っている。
横には柵があり、牧畜が行われている事を表している。
服装や柵から、牧畜が始まった古代を表している。

人生の諸段階 秋

1826年or1834年 紙 鉛筆・セピア 19.2×27.6cm ハンブルク美術館
秋は午後を表す。
大地は雪を頂く険しい山々に変わり、空には鷲が舞う。小川は大河に変わり、先にはゴッシクの都市が見える。
成人した男女は、手を取り合ってはいるが、騎士姿の男性は都市を目指しているのに対し、女性は山へと続く、険しく細い山道を指差す。
二人の傍らには、戦士の碑や棺がある。
中世を表す。

人生の諸段階 冬

1826年or1834年 紙 鉛筆・セピア 19.3×27.6cm ハンブルク美術館
冬は薄明かりの夕暮れを表す。
場所は嵐の過ぎ去った浜辺の廃墟と墓場に移る。
二人の老人は墓場に腰を下ろし、新しくあいた墓穴を見つめている。廃墟は朽ち果て、かたわらの木も枯れ、幹が半ばから折れている。
服装や建築から、自分の時代=カスパー自身の生きた時代が、終末の時代として描かれている。

人生の諸段階 洞窟の骸骨

1826年or1834年 紙 鉛筆・セピア 18.8×27.4cm ハンブルク美術館
こんどは、地底の凍てついた鍾乳洞。
上から滴り落ちた水は凍りつき、氷柱となって垂れ下がっている。
二人は死者となり、骸骨となって横たわる。

人生の諸段階 礼拝する天使

1826年or1834年 紙 鉛筆・セピア 18.5×26.7cm ハンブルク美術館
大地は消え去り、雲間に浮かぶ。
上方の雲の切れ目からは、まばゆい光が降り注ぎ、二人を包んでいる。
二人の魂は浄化され、天使となり、祝福され、神へと導かれる。

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